AIでドライバー安全プログラムを改善できるのか?
自動運転の完全な実現までにはまだ数十年かかるかもしれませんが、安全運転のテクノロジー企業ではすでにAIの導入が始まっています。AIの実装例は、エッジ(この場合は自動車)やクラウド、またエッジとクラウドの双方向など、多岐にわたります。このようなドライバーと車両の安全を守るAIソフトウェアを正しく評価するにはどうすればよいか、順を追って見ていきましょう。 ドライバーの行動を確実に改善し、衝突事故による損失を減らすには、適切なソリューションの選択が重要です。代表的な評価基準を以下にご紹介します。 そのAIモデルは熟練ドライバー並に衝突事故のリスクを識別できるか?課題 車両の増加やドライバーの入れ替わりが激しさを増す中、同乗研修や個別研修をこれまで通り実施するのは難しくなってきています。そんな中でも、車両運行管理者/安全管理者が、ドライバーを指導し、熟練ドライバー並の安全な運転をできるようにするにはどうすればいいでしょうか? 求められる技術: マルチタスク型畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と複数のセンサーのよる複合的なデータ分析 AIによるドライバーサポートには、人間の指導者と同じようにドライバーの行動を識別し、介入できることが必要です。 そのAIモデルは現実世界ででうまく機能するか?課題 AIが人間のコーチと同じように、ドライバーの行動、周囲の情報、車両の挙動におけるリスクを認識できるようになったら、次はさまざまな運転状況の中で同じ行動を認識できるように学習させる必要があります。ドライバーの外見、服装、車内の広さ、照明条件、道路状況、交通パターンなどの要素がこれに含まれます。 求められる技術: CNNモデルの継続的な学習 人間の目や脳と同様に、AIも常に新しい実際の運転データを使った訓練を継続しなければ、このような多様な状況で活用できるようにはならないでしょう。 ドライバーの行動に最も効果的に影響を与えるには、AIモデルをどのように展開すればよいか?課題 最終的にAIの理解力がドライバーの行動、周囲の情報、車両の挙動や運転状況全体における重大なコンテキストデータに対して、信頼できるレベルに達したとしても、最も必要な場面でドライバーをサポートできるように車両へ展開されていないと、うまく機能しません。 求められる技術: エッジツークラウドのソフトウェアアーキテクチャ エッジコンピューティングや高速モバイルネットワーク通信によるIoT技術が発達したおかげで、車両へAIを展開して、高リスクのイベントが検出されるとすぐにドライバーにアラートを発報し、衝突事故を予防・回避することができるようになりました。 ディープラーニングによるニューラルネットワーク構築 ドライバーや車両の安全を守る適切で強力なAIソフトウェアを作るには、まずディープラーニングを用いたニューラルネットワークを開発する必要があります。これは、人間の脳のような正確性と計算速度を備えたパターン認識を、効率的かつ自動的に行うアルゴリズムです。 ディープラーニングシステムに多くの時間や資金を投資したうえで、高品質の映像と専門知識を活用しなければ、複雑な運転状況の中でパターンと傾向を認識することはできません。 ナウトは創業以来ニューラルネットワーク科学をその技術に取り入れ、以下のようなさまざまな交通情報のインプットを用いてパターン認識を行っています。 ドライバーの行動: わき見運転、眠気、疲労、携帯電話の使用、食事などのリスクの高い行動(照明条件、車種、ドライバーの外見・服装にかかわらず認識可能) 周囲の情報: 先行車の位置や速度、停止標識の有無や信号機の状態、歩行者、自転車などの車両や交通の状況 車両の挙動: 急加速、急ブレーキ、急ハンドル、スピード違反などの危険な運転を含む挙動 コンテキストデータ: ドライバーの反応速度、天候、交通パターン、衝突事故履歴など、日々蓄積される実際の交通データからの継続的な学習 マルチタスク型畳み込みニューラルネットワーク (CNN) 多くのAIソリューションがディープラーニングを用いたニューラルネットワークの使用を謳っていますが、より高度に進化したのがマルチタスク型畳み込みニューラルネットワーク (CNN)です。ドライバーの行動や交通パターンの分析を行うアルゴリズムができたら、マルチタスク型の畳み込みを実現するために、ニューラルネットワークで作成した既存のモデルをより進化させる必要があります。 CNNはニューラルネットワーク科学の中でも専門的な分野ですが、簡単に言えば、これを利用すると映像を解析して、車内や前方の道路、そして車両自体に何が起きているのかを、車内にいるドライバーそして、クラウド上の車両安全管理ソフトウェアに伝達することが可能になります。 車内のイメージセンサーを例にとると、CNNモデルでは映像を解析して、以下のようなドライバーのわき見行動を判別・特定することができます。 わき見運転、眠気 携帯電話の使用 喫煙 シートベルトの着用不備 その他多数の行動 CNNモデルでは、ディープラーニングによるニューラルネットワークのパターン認識に基づいて映像を解析して、リスクレベルを推測します。 マルチセンサーデータフュージョンを活用したCNN ひとつの映像に対してパターン認識に基づいた解釈を行い、判定結果が導き出せるようになったら、CNNモデルの層を増やし複数のセンサーのインプットを同時に処理できるようにするのが自然な流れです。CNNモデルには、ドライバーの行動、周囲の情報、車両の挙動などの複数の映像を融合させ、リスクをより包括的に理解できる高度な知能が求められています。この技術を利用すれば、人間の頭脳よりも的確かつ迅速なリスクの推測が可能です。 現在ナウトでは、ドライバーの行動、交通状況、車両の挙動、重要なコンテキストデータをCNNモデルの下に融合させ、隠れた衝突の危険回避を目的とした衝突事故予測アラート(ニアミスアラート)と、リアルタイムに車内でのコーチングを行うリアルタイムアラートにおいて、状況の重大度を判定するためにCNNを利用しています。 例えば、わき見運転を防止するナウトのドライバー行動アラートは革新的な音声アラートですが、わき見の時間(ドライバーの行動評価)と車速(車両の挙動評価)に基づいて発報されます。また、安全運転管理者や運行管理者向けに完全なコンテキストデータを提供し、ドライバーのセルフコーチングや管理者による個別研修に役立てることができます。 CNNモデルのトレーニング 高精度で強力なパターン認識能力を備えたAIベースのソリューションを開発するには、多様性に富んだ実際のデータと、特別なクラス分類を用いてCNNモデルをトレーニングし継続的な学習と改善を可能にすることが不可欠です。 ラベル付けされた学習データを基にするだけのCNNモデルは、数学を学ぶ生徒と同じで、教師よりも優秀になることはありません。CNNモデルに高リスクイベントの識別と予測を効果的に学習させるために、ナウトでは独自の分析ワークフローを採用し、以下のような複雑な実際のシチュエーションの分析や、高リスクな運転イベントの予測因子の特定を行っています。 ドライバーのさまざまな外見と服装(顔の形、サングラス、マスク、帽子など) 車内の広さ(乗用車から大型トラックまで) 時刻(朝、夜、その他の照明条件など) 天候条件(雨、曇りなど) 道路の種類 その他 CNNモデルの開発において、このような大きくばらついた要素を考慮しながらも高い精度が得られているのは、世界中のナウトのお客様車両から得られた多様で高品質な大量のドライバー行動データに支えられているからです。 […]
機能の紹介:あおり運転検知および車内アラート
ナウトはながら運転だけではなく、あおり運転(車間距離不保持)に対してもリアルタイムに検出し、車内で警告を出す事ができます。人工知能(AI)をドラレコに搭載し、車内と社内の両方でのドライバー指導ソリューションを提供しています。 自動指導(車内での指導):車内でのアラート「リアルタイム警告」でドライバーに指導を行うことにより、運転方法をリアルタイムで修正します。 高度な指導(社内での指導):ナウトのウェブアプリ(安全運転管理アプリ)にあるイベント画面において、あおり運転の内容(車間時間や継続秒数)と画像を確認することができ、運転管理者の効果的な指導をサポートします。 あおり運転:ナウトのリアルタイム警告 あおり運転の現状 米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、2016年に発生した自動車衝突事故の47%が追突事故であると公表しています。ドライバーが安全運転を心がけ、前方車両との車間距離を安全に保つことで事故の多くを防ぐことができました。 エッジAIでリアルタイムの安全運転管理 ナウト車載機は、コンピュータービジョンと独自の機械学習アルゴリズムが組み込まれている取り付けも簡単な車載機です。危険性の高い挙動をリアルタイムで検知し、警告することで直ちにドライバーを指導します。2018年にわき見運転に対するリアルタイム警告を提供してからは、 車種を問わず、わき見運転を50%以上削減しています。現在は、車両前方向けカメラに機械学習(ML)アルゴリズムを搭載し、検知機能を強化することであおり運転の防止に取り組んでいます。ナウト車載機の組み込みAIアルゴリズムはセンサーフュージョンを活用し、ドライバーの前方車両との距離を認識および測定します。測定した距離とリアルタイムのスピードデータを基に、アルゴリズムが車間時間、または2台の車両が同一基準点を通過する際の時間間隔を動的に算出します。その後、算出された時間や間隔を基に、車内でリアルタイム警告を発することで後続車両との距離を安全に保つように促します。 あおり運転:安全運行管理アプリのあおり運転イベントレポート 安全運転管理インサイトの強化 ナウト車載機は、車内リアルタイム警告によるドライバー指導のほか、運行管理者に向け、危険挙動をナウトのウェブアプリ(安全運転管理者アプリ)に自動アップロードします。運行管理者に実用的なインサイトとあおり運転挙動を反映した独自のベラスコア(視覚強化型のリスク評価スコア)を提供することで、運行管理者は必要に応じた車両の安全管理と、指導の機会を迅速に特定することができます。 ナウトは、車内と車両前方の運転リスクをリアルタイムで把握する先進的なセンサーフュージョン技術を活用し、車両安全の向上における技術革新に継続的に取り組んでいきます。今後もインターネットを経由したシステムアップデートによる、機能の強化を予定しておりますので、引き続きご注目ください。ナウトのリアルタイム危険運転検知機能および指導にご興味がある方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。
ドライバーファーストでアプローチする車両安全
ドライバーも安全運転の指導者も車両運行管理者も、もちろん商業車・社有車を所有する法人も、皆同じように事故を回避して損害を減らすことを目指しています。そのためには、以下のような機能を備えた安全運行管理プラットフォームの活用が不可欠です。 事故を未然に防ぐためのアラート:事故が発生したことを知らせるものではなく、事故が発生する前に警告する仕組み ドライバーの運転技術向上を助ける仕組み:統計的に運転経験が浅いドライバーは数倍、衝突事故に巻き込まれやすい。ドライバーのプライバシーやプロ意識を損なうことなく、正しいタイミングで正しい情報を提供することは大きな課題です。そのためには、「事後報告&事後指導」ではなくドライバー自身にアプローチすることが不可欠です。幸運なことに、AIはこれを可能にします。AIが事故が発生する前にドライバーに対して警告することで、ドライバーは事故を避ける行動を取ることができます。これはすでに起きてしまった事故を検知したり、報告するという従来のものからは大きく異なったアプローチとなります。 なぜ通信型ドラレコやSDカード方式のドラレコでは事故を防ぎきれないのか 現在の通信型ドラレコやSDカード方式のドラレコでは、わき見運転などのながら運転の検出には、運転動画をクラウドにアップロードし、人の目による分析などをし、ながら運転かどうか判定する方法が多く採用されています。このようなアプローチには、以下のような重大な欠点があります。 車両とクラウド間のデータ送受信にはタイムラグがあり、リアルタイムのアラートを発報できないため、ドライバーの事故を未然に防ぐことができません。さらに、現在市場は出回っている多くのシステムでは、データが収集されたことがリアルタイムにドライバーに通知されないため、本来、自身のながら運転を認識すべきドライバーよりも先に、上司にながら運転をしているという情報が伝わることになります。 車載カメラの映像が不正な形で使用されることを危惧するドライバーもおり、システムが正常に動作しないようにカメラのレンズを隠す等細工する可能性さえ考えられます。このようなことが起こると、自分に過失がない衝突事故であっても、それを証明するチャンスが奪われるだけでなく、事故から学び今後の運転を改善するチャンスすら失ってしまいます。そうならないためには、ドライバーが危険運転を改善し、危険を回避ができる可能性がある間に、リアルタイムに危険を知らせることが重要です。 通信型ドラレコの業界では、車両内の映像が、24時間ライブストリーミング配信ようにの閲覧可能な場合があったり、「抜き打ち検査」のように動画を取り出したりされています。これは最も憂慮すべき傾向の一つで、このような機能やプライバシーの侵害に対して、ドライバーや組合は強く反発してきました。先日、Freightwavesがまさにこのトピックに関する記事を公開していることを見ても、これは大きな問題だと言えるでしょう。適切なツールを使用すれば、人が常時監視したり、監視カメラを使用することなく、ドライバーと車両の安全を守ることができるはずです。 車載AIによるメリット 車載AIドラレコを使用すれば、ドライバーの動き、視線や注目している方向、車両の動き、交通状況、その他の重要なデータを自動で検出することができ、差し迫った危険に対してリアルタイムにドライバーに危機を通知することが可能です。これにより衝突事故が平均40%~60%軽減されるだけでなく、衝突事故により発生する経費の削減にもつながります。車載AIのセンサーやリアルタイムアラートによって、上司が介入することなく、5人中4人のわき見運転が減少しました。ナウトのような車載AIを活用したドラレコでは、人の目での危険挙動の発掘や映像全体へのアクセスは一切必要ないため、ドライバーのプライバシーを確実に保護することができます。もちろん、録画映像のアップロードがドライバーにとって有利になる場合もあります。例えば、虚偽の請求や自身に過失のない事故の場合、証拠として活用することができます。このように運転中の録画の活用場面について、ドライバー自身が選択できることこそ望ましいと言えるでしょう。 路上実地試験済みのナウト車載AI ナウトの車載AIドラレコによって、ドライバーはリアルタイムに正確かつ革新的な自動音声アラートを受け取ることができるため、映像による監視を受けることなく、運転に集中することができます。必要な場合は、画面表示も可能です。 正しいソリューションの選択 ドライバーと車両を守る安全運転システムにはさまざまな製品があります。それらの性能を評価するには、技術的な欠陥をあたかも便利な機能であるかのように言い替えてしまうようなベンダーに注意することが重要です。そのようなベンダーを利用し、ドライバーのプライバシー保護をないがしろにすると、ドライバーの採用の妨げになったり、ドライバーからの信頼を失うことにつながりかねません。ドライバーのながら運転やとっさの衝突事故を未然に検知するためには、クラウドに録画映像をアップロードするプラットフォームではなく、車両内でリアルタイムにイベント検出が可能な、AI搭載型ドラレコ等のプラットフォームを提供できるベンダーが最適です。 ナウトの安全運行管理プラットフォームは、マルチタスク型の畳み込みニューラルネットワークモデルを活用した唯一の車載技術です。ドライバーの行動、交通状況、および車両の動きなどの重要コンテキストデータを同時に、そして完全かつリアルタイムに評価し、リスクの高い運転イベントを予測、予防します。その結果、商用車にかかる経費を削減し、ドライバーの命を守ります。ナウトは、ドライバーファーストを生み出すインサイトを提供いたします。 また、ナウトのドラレコはドライバーがいち早くフィードバックを得られるよう、ドライバーがながら運転などの危険運転をしている場合、車載端末からリアルタイムに音声アラートを発報します。これによりドライバーは、上司よりも先に必要な情報を受け取ることができます。ナウトは、ドライバーのプライバシーを犠牲にすることなく安全を保証します。 参考文献:米国運輸省道路交通安全局NautoおよびAtlas Financial Holdings, Inc.によるドライバーの安全に関する報告(2018)Nautoによるドライバーの安全に関する報告 車載AIを活用したわき見運転の削減(2019)