【交通安全ニュース解説コラム】第114回 –
一瞬の判断ミスを重大事故にしないための、高速道路の安全哲学

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。

5月14日、北海道の道央道・新千歳空港ICの出口付近で乗用車が路外に逸脱する事故がありました。 この事故で、60代とみられる男性が意識不明の重体となり、同乗者の60代とみられる女性も体を強く打つなど重傷を負いました。

高速道路で「慌てること」が、最も危険な理由。

高速道路のインターチェンジ付近では、以前から非常に多くの事故が発生しています。

私はこれまで数多くのドライブレコーダー映像を分析してきましたが、その中でも特に危険だと感じるのが、「出口を間違えた」と気づいた瞬間に起きる無理な進路変更です。 高速道路を走っていると、「降りるつもりだった出口を通り過ぎそうになった」「分岐を間違えた」という経験は誰にでもあります。 その時、人は強い焦りを感じます。

「何とか間に合いたい」「今ならまだ入れるかもしれない」。 その心理が、急ハンドルや急ブレーキにつながるのです。 しかし、高速道路で最も危険なのは、“慌てること”です。

特にインターチェンジ付近は、本線を高速で走る車両と、出口へ向かって減速する車両が混在しています。

速度差が大きいため、少しの判断ミスでも重大事故になりやすい場所です。

そこへ突然の車線変更が加われば、後続車は回避できません。 実際、ドライブレコーダーの映像には、出口直前で強引に割り込もうとする車両が数多く記録されています。 ウインカーを出した瞬間に急に進路を変える。 減速車線へ無理に入ろうとする。 あるいは、一度通り過ぎかけた出口へ戻ろうとして急ハンドルを切る。

こうした行動は、運転している本人に悪気があるわけではありません。 「間違えたくない」「予定通りに進みたい」という運転者の気持ちが原因です。

ですが、高速道路では、“予定通り”よりも“安全”を優先しなければなりません

本来であれば、出口を通り過ぎた時点で、そのまま次のインターチェンジまで進むことが正しい判断です。

数分遅れるかもしれません。しかし、その数分を取り戻そうとして命を失ってしまっては意味がありません。

私は交通事故の分析を通じて、「事故は偶然起きるものではない」と感じています。

事故の直前には、必ず危険な行動があります。 And、その多くは「焦り」から始まっています。

高速道路では、一瞬の判断ミスが重大事故につながります。 だからこそ必要なのは、「間違えても戻らない」「無理に入らない」という意識です。 これは単純なようでいて、とても重要な安全行動です。

運転に慣れている人ほど、「このくらいなら大丈夫」と思いがちです。

しかし、その“少しくらい”が事故を招きます。 特に高速道路では、自分だけではなく周囲の車両も高速で動いています。 一台の無理な動きが、多重事故につながる危険もあるのです。 高速道路で出口を間違えることは、誰にでもあります。 大切なのは、その後に冷静でいられるかどうかです。

「次で降りればいい」 そう考えられる余裕が、重大事故を防ぐ最大の安全運転なのです。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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【編集部まとめ】
慣れた道でも、初めての道でも、出口を間違えることは誰にでもあります。しかし、そこで「何とかしなきゃ」と慌ててしまうことが、取り返しのつかない事態を招くのだと上西氏は警鐘を鳴らします。数分遅れることと、命を危険にさらすこと。どちらが大切かは明白です。ハンドルを握る際は、常に「間違えても大丈夫」という心のお守りを持って運転したいですね。

実際に、重大事故をきっかけに安全管理の抜本的な改革を行われた「大阪センコー運輸株式会社」様では、ナウトの導入により全体の事故件数を3割削減、前方の衝突事故を0件にするという成果を上げられています。
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