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【交通安全ニュース解説コラム】第48回 カーブでの事故を避けるには

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先週末、北海道大樹町で乗用車と軽自動車が正面衝突する事故がありました。
残念ながら、乗用車に乗っていた92歳の方と、軽自動車に乗っていた19歳の3人の、あわせて4人が亡くなりました。
現場は片側1車線のカーブした道路で、軽自動車が一度車線から左側の路外に脱輪した後、対向車線にはみ出して正面衝突したということです。
軽自動車はスタッドレスタイヤを装着しており、速度超過もしていたと見られています。

北海道などの降雪期間が長い地域では、年中スタッドレスタイヤを装着しているという人もいるようです。
しかし、スタッドレスタイヤは積雪していても安定して走行できるように開発されたものであるため、夏の路面を走行するのには向いているとは言えません。
スタッドレスタイヤは、タイヤ表面が細かい溝で覆われており、雪や氷の上でもしっかりとグリップするようになっています。
また、ノーマルタイヤと比較してゴムが柔らかく、溝も深くなっています。
タイヤの性質と構造がノーマルタイヤとは全く違うため、スタッドレスタイヤで夏季の高温になった路面を走行すると、制動距離が長くなるうえに、場合によってはタイヤに熱がたまってしまいバーストしてしまうことも考えられます。
雪道や凍結路面以外ではコーナリング性能も劣るため、速度によってはカーブを曲がり切れないという危険もあります。

カーブの事故は重大事故になりやすい

タイヤの種類にかかわらず、カーブでは速度超過をしないのが鉄則です。
重心が上の方にある車高の高い車は、スピードを出し過ぎた状態だと横転の危険性も高まります。
速度はカーブの手前で十分に落としてください。
減速路面表示がある場合は、事故が多い場所でもあるので、さらに意識して速度を落としてください。
どのくらい減速するかですが、カーブに差し掛かるまでに出していた速度の約半分を目安にすると良いかと思います。
時速50kmで走行していたら時速25kmにまで落とせば安全に走行できるでしょう。

警察庁の令和4年の統計資料によると、交通事故のカーブにおける発生率は、全体の約2.6%でした。
ただし、事故件数での割合こそ2.6%と少なめですが、死亡事故率となると13.6%にもなります。
7887件の事故がカーブあるいは屈折した道路で起こっていて、346人もの人が亡くなっているのです。
カーブでの事故は死亡事故になりやすいと言えます。
ましてや対向車線にはみ出してしまうと、対向車と正面衝突するため、重大事故になりやすいのです。
カーブの途中やカーブを超えた先で事故を起こした場合は、見通しが悪い場所になりますので、後続車から衝突されないよう措置を取ることも忘れないでください。

事故防止のために、タイヤの溝の深さや空気圧の確認等の日常点検もしっかりと行うようにしましょう。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。