【交通安全ニュース解説コラム】第107回
生活習慣病と交通事故の深い関係
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
数年前のデータ(※)にはなりますが、厚生労働省の発表によると、1月から3月の厳寒期に、脳・心臓疾患が原因の健康起因事故が増えるそうです。
この統計は、事業用自動車の運転者を対象とした統計ではありますが、プロドライバーとして車両を運転する人だけでなく、長時間の運転を行う人は気をつけた方がよい時期といえます。
健康状態に起因する事故は、年間約300件ほど発生しています。
その原因の多くは、脳・心臓疾患によるものだということも調査の結果から分かっています。
死亡事故となってしまった事故においては、脳・心臓疾患、大動脈瘤及び解離が原因であったものが、全体の約8割を占めるほどです。
このような大病ではなくとも、トイレを我慢し続けたことが原因で失神を起こしてしまい、事故になってしまった事例もありました。
運転中に意識障害を起こすと、ブレーキ操作などの事故を回避する行動や、制御行動ができないまま衝突するため、重大事故になりやすい傾向があります。
健康起因事故の原因となる病には、生活習慣病が大きく関わっています。
生活習慣病とは、長期にわたる不規則な生活習慣などから、健康状態が悪化することです。
偏った食事や運動不足、飲酒や喫煙、休息不足やストレスなどが病の原因となります。
症状としては、糖尿病や高血圧症、脂質異常症、免疫力低下などが挙げられます。そして、その影響で、眼疾患や脳血管疾患、心臓疾患や睡眠障害などの病気になるのです。
急な視覚障害や失神意識障害などは、場所やタイミングを選べません。
運転中だとしても起こり得るのです。
そして、意識障害で事故を起こしてしまった時、周囲にいる人を巻き込んでしまい、死亡事故となってしまうこともあるのです。
生活習慣病のほとんどは、自覚症状がなかったり、認識はしていても日常生活に大きな支障が出るような症状ではないかもしれません。
しかし、放置してしまうと、ある日突然意識障害を起こし、事故によって誰かを死なせてしまいます。
誰かの命を奪ってしまった時、「検査が必要だったが放置していた」「忙しくて検査に行けなかった」と遺族の方に言えるでしょうか?
相手はそのような理由を聞かされて、大切な人を亡くしたことを受け入れられるでしょうか。
場合によっては、意識障害を起こしてしまった本人も、病、あるいはその事故で、亡くなってしまいます。
健康診断等で再検査の診断が出た場合は、必ず再度受診して検査を受けてください。
自覚症状がないからと放置するのではなく、自覚症状がないうちに、健康状態を改善するよう取り組んでください。
統計では、脳・心臓疾患が原因の健康起因事故の発生率は、50代の運転者で最も多かったという結果が出ています。
50代の方は、特に気をつけて健康管理を行ってください。
皆さんが健康起因により亡くなり、事故で相手を死亡させてしまったとします。
皆さんの家族は、被害者の遺族ではなく、加害者の遺族になることを忘れないでください。
※参考:厚生労働省「トラック運転者に係る労災支給決定(認定)事案の調査・分析結果」
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。