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【交通安全ニュース解説コラム】第104回
「普通に運転しているだけ」があおり運転を招く理由

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
今年もこのコラムでは、日々報じられる交通事故について、事故原因や傾向、そして事故を起こさないための対策についてお伝えしていきたいと思います。
今月初旬、あおり運転をきっかけとする、暴力行為等処罰に関する法律違反と傷害の疑いで、一人の運転者が逮捕されました。
きっかけとなった事案は、昨年11月に三重県津市で起こりました。
逮捕された運転者は、軽トラックを運転中、後方にいた大型トラックを停車させ、その運転者を長さおよそ70センチのバールで脅したそうです。
停車させた理由等については、軽トラックからあおり運転を受けた大型トラックの運転者が、スマートフォンで軽トラックを撮影し、それに逆上した軽トラックの運転者が車を停止させ、自車から降りてつめ寄ったと報じられています。

あおり運転は、犯罪行為です。絶対にしてはならない運転行動です。

しかし実は、「被害者側」にあおり運転の原因があるケースも少なくありません。
私は20年以上、ドライブレコーダーの映像から事故分析をしています。あおり運転の映像も数多く見ていますが、長年見続けていると、ある共通点が見えてきます。
それは、あおり運転を「受けやすい運転行動」が存在するということです。

大きなポイントは、3つあります。

1つ目は「近い車間距離で走行する」運転行動です。
私は常々、事故防止の観点から、一般道においても高速道路においても、「白線4本分」の車間距離を推奨しています。この車間距離であれば、一般道では40メートル、高速道路では80メートルが確保できます。
しかし、運転者の中には白線2本分以下といった短い車間距離で、先行車の後ろを走行し続ける人がいます。
自分では、普通に走っているだけ、あおり運転のつもりはないと思っていたとしても、それよりも広い車間距離を保持する運転者にとっては、「あおられている」と感じてしまう距離なのです。
そして、その誤解が、逆ギレ型のあおり運転につながります。


2つ目は「ウインカーを出さない進路変更」です。
ウインカーを出さない、あるいは出しても直前であったり、1度の点滅しかさせなかったり、後方車両との距離が近いまま進路変更をすることは、あおり運転の引き金になりやすい行動です。
道路交通法にも定められている通り、3秒前からウインカーを点滅させ、安全な距離が確保できてから進路変更をしましょう。


3つ目は、「追い越し車線を走り続ける」です。
これはそもそも道路交通法違反です。
左側の車両を追い越したら、すみやかに左側車線に戻るようにしましょう。
追い越し車線を走行し続けて後続車の追い越しを妨げてしまうような運転をすると、後続車は強いストレスを感じます。
そのストレスが、クラクション、パッシング、車間詰めといったあおり行為に発展するのです。
あおり運転対策で最も大切なのは、「相手を変えようとしない」ことです。
相手がどんな人かは選べません。しかし、自分の運転行動は選べます。

  • 車間距離をしっかり確保する
  • 早めにウインカーを出す
  • 追い越し車線を長く走らない


これだけで、あおり運転に遭う確率は確実に下がります。
また、あおり運転を受けた際、相手を撮影する行為は、証拠になる場合もありますが、今回の事件のように相手を逆上させ、危険を拡大させることがあります。
最優先すべきは身の安全です。ドアをロックし、相手と直接対峙しないことです。
可能であれば人目のある場所やサービスエリア、コンビニなどへ移動してください。そして、速やかに110番通報し、警察の指示に従うことが重要です。
感情的な対応はトラブルを激化させ、事故や暴力行為につながる恐れがあります。
「撮る」よりも「逃げて通報する」。これがあおり運転への基本的な対処です。


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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。