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【交通安全ニュース解説コラム】第52回 自転車との共存

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先日、東京都内で非常に危険な走行をする自転車を目撃しました。
X(旧Twitter)に画像を投稿しましたし、みなさんの反響を含めて、ニュースサイトで記事にもなりましたので、もしかしたらご覧になった方もいるかもしれません。
目撃したのは、東京都新宿区のとある大きな交差点でした。
ヘルメットを着用せず、後部座席には子供を乗せた自転車が、車両用の右折レーンに進入し、右折待ちをしていた先頭の車両を遮り、さらに対向車線を走行してくる直進車さえも遮って右折していきました。
事故にならなかったのが不思議なほどの危険運転です。

どんな交差点でも自転車は二段階右折

自転車は「軽車両」という区分に分類される車両の一種で、原則として車道を走るよう定められています。
しかし、乗用車等のいわゆる私たちが「車」と呼んでいる乗り物とは、異なったルールが設定されています。
右折の仕方もその一つで、自転車は二段階右折をしなければなりません。
道路交通法第34条では、「特定小型原動機付自転車等は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない」と記載されています。
自転車で右折する場合は、一度直進して、その後横断する側の信号に従って右方向へと行く必要があるのです(下図参照)。

警視庁のホームページに「自転車の交通ルール」という詳しい説明がなされているページがあるので、ぜひ一度目を通してみてください。

なお、法令では「交差点の側端」と記載されていて、交差点の大きさ等に関する記載はありません。
これは「いかなる交差点であっても」ということを意味します。
つまり、下図のように信号機のない交差点においても二段階右折をする必要があるということです。

違反した場合は3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられ、何より非常に危険なので、絶対にしてはならないことなのです。

事故を防ぐには「とにかく近寄らない」

もしもみなさんが車を運転中に、二段階右折を守っていない自転車を見かけたら、とにかく近寄らないようにしてください。
自転車と並走せず、また追い越したりもせず、とにかく車間距離を広めに取ってください。
対向車線にこのような自転車を見かけたら、その自転車が通過するまで停止してください。
直進が優先だからという意識で交差点内に進入してしまうと非常に危険です。
自転車の運転者が、直進する側が優先であることを知らずに、直進車の前に進入してくる可能性があるのです。
特に、努力義務にもかかわらずヘルメットを着用していないシティサイクル(ママチャリ)は要注意です。ヘルメットを着用していないことにも危険感受性の低さが現れていますが、このような自転車は生活圏内を走行していることがほとんどで、「慣れた場所だから」という意識からも無謀な運転をしがちです。
自転車は便利で身近な乗り物である一方、運転免許証が必要なく、子供の頃に乗り方を覚える人も多いため、運転者にとっての「常識」である交通ルールを知らないことも多々あります。私たち運転免許証を保有する運転者とは、知識と経験が違うため、私たちの想定をはるかに超えた動きをします。
ルールを無視した走行をする自転車等を見かけたら、事故を起こさないため、近寄らずにやり過ごしてください。

自転車で多い違反は、信号無視と一時不停止です。
車を運転している場合でも、そのことを念頭に置いて、走行している自転車に対して注意を払ってください。
過去には、わずか時速2kmしか出ていない乗用車と接触した自転車の運転者が転倒し、打ちどころが悪く亡くなってしまった事故もありました。
事故の加害者にも被害者にもならないために、「相手が止まってくれるだろう、避けてくれるだろう」という「だろう運転」をするのではなく、「相手が飛び出してくるかも、後方確認せずに車線変更するかもしれない」という「かもしれない運転」を心がけてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。