【交通安全ニュース解説コラム】第108回
「相手は止まる」と思い込まない ― 交差点事故を防ぐ意識
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先日、富山県で、親子二人が死亡する交通事故が発生しました。
現場は国道8号線の交差点でした。
赤信号を無視して、法定速度を上回る速度で交差点に進入した車両が、軽自動車と衝突し、軽自動車に乗っていた親子が死亡しました。
衝突した車両はいずれも大きく損傷し、周囲には部品が散乱していました。
信号無視をした側の車両は、ブロックに乗り上げていました。
現場の惨状からも、すさまじい衝撃を生んだ事故だったと考えられます。
事故を起こした車両の運転者は、驚いたことにその後の証言で「赤信号でも行ってやろうと思った」と供述しています。
結果として、この運転者は「危険運転致死」で逮捕されました。
信号無視が生んだ重大事故
この事故の場合、赤信号であることを認識していたうえで、それでも「行ってやろう」と思い交差点に進入していますから、過失ではなく意図的な危険運転です。
もはや無差別な暴力に等しい暴挙です。
本来、信号機のある交差点は交通秩序の要であり、誰もが「赤信号なら相手は止まる」という信頼のもとに通行しています。
その前提を根底から覆す身勝手な心理が、重大事故につながりました。
ブロックに乗り上げた車両の無残な姿は、衝突時の衝撃がいかに常軌を逸したものだったかを物語っています。
ハンドルを握る者は、自身の「行けるだろう」という一瞬の傲慢さが、重大な事故につながる事を自覚すべきです。
今回のような事故については、相手がかなりのスピードで交差点に進入しているようなので、回避するのは非常に困難だったのではないかと思われます。
交差点で意識したい安全運転
残念なことに、赤信号に変わったにもかかわらず交差点に進入してくる車両は、皆無ではありません。
また、直進車の存在に気づいていながら、「行けると思った」と言って右折する車両もいます。そして、直進車と接触事故を起こしてしまいます。
このコラムを読んでいる皆さんは、赤信号を無視したり、無理な右折をしたりといった危険な運転はされないと思います。
しかし、危険を回避するために、もしかしたらそういう車両がいるかもしれない、という想定をしておくことは重要です。
特に、信号機のない交差点では、一時停止の標識がある場所では必ず停止してください。
一時停止義務がない方の道を走行していたとしても、交差点に進入する前に徐行してください。
一時停止を無視して進入して来る車両がいるかもしれないことを想定し、徐行したうえで、ブレーキに足を置いた状態の「構えブレーキ」で走行してください。
自分が優先だからという意識で運転をしていると、時に事故に巻き込まれることがあります。
事故を起こさないために、最適な行動を取るようにしてください。
たとえ自分の方が優先度が高かったとしても、事故に巻き込まれてしまうと、その後の人生が大きく変わってしまう可能性もあるのです。
「事故を起こさない・巻き込まれない」を最優先にし、運転をしてください。
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。