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【交通安全ニュース解説コラム】第97回 無灯火停車とシートベルト未着用が招く重大事故

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
9月13日午前3時頃、長崎市の女神大橋で大型トレーラーと乗用車が衝突する事故が発生しました。
通報があった当初、衝突したトレーラーは、先頭部分が橋の欄干を突き破った状態で停止し、フロントガラスは割れて運転者は行方不明でした。
トレーラーの運転者が車外に出た理由は、分かっていません。
シートベルトの未着用、あるいは正しく装着していなかったことによる車外放出の可能性もありますが、衝突の影響で意識が朦朧としたまま、避難しようとして車外に出た可能性もあります。
残念ながら約1時間後に運転者は海上で発見され、死亡が確認されました。
事故当時、乗用車は無灯火で駐停車禁止の車線に停車し、電話をしていたとのことでした。

交通ルールを守る


今回の事故では、そもそも乗用車が駐停車禁止の場所に約30分にわたって停車していたことが、事故の大きな原因として挙げられます。
事故後の調査では、乗用車が停車して15分程度は、前照灯やハザードランプを点けていましたが、トレーラーが衝突するまでの15分ほどは、全てのライトを消していたことが分かりました。
深夜の橋の上に無灯火で停車している車を発見するのは、困難なことだとは思います。
停車していた理由が通話のためだったようですが、電話をする際は、駐車場等の安全な場所に停車して行うようにしましょう。
これは基本的なルールです。
ながら運転はもってのほかですが、だからといってどこに止めてもいいわけではありません。
このコラムを読んでいる方は、安全意識の高い方ばかりだと思いますので、駐停車禁止区域に車両を停車させることはないと思いますが、止まっている車がいるかもしれないという想定は持つようにしてください。
また、万が一、故障などで停車せざるを得ない場合でも、必ず安全対策を取るようにしましょう。
ハザードランプの点灯はもちろん、三角停止表示板などの停止表示器材を設置し、発炎筒を使用して後続車に緊急事態であることを知らせましょう。
車両に三角停止表示板が常備してあるか、発炎筒の期限は切れていないかを、確認しておきましょう。

シートベルトの着用と安全確認後の避難


シートベルトの着用率は年々向上しており、運転席での着用率は、一般道路でも高速道路でも99%に達しています。
助手席での着用率も増加しており、98%を超えています。
しかし、後部座席では着用率が低く、一般道路においてはわずか45%の着用率です。
後部座席とはいえ、追突事故などの衝撃で亡くなるケースも多々あります。
一般道路であっても、車に乗る場合は必ずシートベルトを着用するようにし、命を守るようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。