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【交通安全ニュース解説コラム】第96回 「夕暮れの交通安全 ― 子どもと高齢者の特性を理解して」

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
暦のうえでは秋を迎えていますが、まだまだ暑い日が続いています。
とはいえ、日暮れの時間は徐々に早まってきていますね。
これからの季節は、日没前後の時間帯の事故が増加していきます。
「薄暮時間」というのですが、午後17時から19時までの2時間は、特に歩行者との事故が多く発生します。これは、辺りが暗くなる時間帯と、人々の帰宅時間が重なることも影響していると思われます。


17時台は、子ども達の帰宅時間帯のため、急な飛び出しに注意をして走行してください。
子どもは大人に比べて危険感受性が低いため、歩道から突然車道に飛び出すことがあります。
突然飛び出してくるため、子どもとの事故では運転者の左側から出てきて衝突するケースが非常に多いです。
友達と一緒に歩いている子どもは、遊びながらや悪ふざけしながら、急に車道に出てきます。
子どもが歩道にいるのを確認したら、可能な限り徐行をして、いつでも停止できるようにブレーキの上に足を置く「構えブレーキ」で走行してください。


一方、高齢歩行者との事故では、運転者の右側から出てきた歩行者と衝突するケースがほとんどです。
これは危険感受性が低いということではなく、目先のリスクに強く、次のリスクには配慮が行き届かないという、高齢者ならではの傾向があるからです。
そのため、高齢歩行者は、歩行者から見て手前になる、右から来る車両に注意を払って道路を渡り始めるのですが、対向車線になる左側から来る車両との距離感を把握できずに衝突してしまうのです。
一説には、体の衰えによって歩行速度が落ちていることを、自分自身が正しく認識できていないために、思ったよりも道路を横断するのに時間がかかってしまい、車両と接触してしまう、という要因もあると言われています。
また、高齢歩行者は最短距離を移動しようとするためか、横断歩道が設置されていない場所にも関わらず、道路を横断しようとする傾向もあります。


これからの季節、薄暮時間帯に生活道路を走行する時は、事故の傾向として歩行者との接触が増えるということを意識し、それに合わせた運転行動を取るようにしてください。
17時台に学校や公園の近くを走行する時は、子どもの突然の飛び出しに特に気をつけてください。
19時台までは、駅やバス停、病院やスーパーや公共施設の近くでは、横断歩道以外の場所でも高齢歩行者が道路を横断している可能性があることに気をつけて走行してください。
もちろん、大人や高齢者の場合は、19時台以降も注意が必要ですが、暗くなり始めたこの時間帯は、視認性が落ち始めているために、より一層の安全運転行動が求められます。
早めのライト点灯を心がけましょう。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。