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【交通安全ニュース解説コラム】第90回 逆走事故の実態と私たちにできる対策

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
最近、逆走事故のニュースが後を絶ちません。
今月中旬には、三重県の新名神高速道路の下り線で、乗用車が14kmにもわたって逆走し、何人ものけが人を出しました。
数日前には、静岡県掛川市内で、逆走車が軽自動車に衝突するという事故がありました。

高齢者特有ではない逆走事故

国土交通省の発表によると、逆走事案は2017年以降、年間で約200件発生しており、そのうち約2割が事故に発展しています。
みなさんは、逆走というと高齢運転者特有の事案だというイメージを持っているかもしれませんが、約200件の逆走事案のうち、3割が65歳未満の運転者によるものなのです。
そして実は、事故にまで発展してしまった件数だけで見ると、65歳未満の運転者によるものが5割にものぼります。
決して「高齢者特有の事故」ではないのです。
逆走をしてしまうきっかけの多くは、道を間違えたことによるものです。
これは事案全体の約6割を占めています。
一般道から高速道路に誤進入したケースや、高速道路の出口に誤進入したケースなどがあります。
そのため、高速道路の出入口やインターチェンジ、ジャンクションなどの付近では、逆走車に遭遇する率が上がります。
万が一、高速道路で目的のインターチェンジを通り過ぎてしまったら、Uターンやバックをするのではなく、そのまま走行して次のインターチェンジで降りるようにしてください。
出口の料金所に着いたら、一般レーンに進み、料金所のスタッフに目的のインターチェンジを通り過ぎてしまったことを相談してください。
料金所の構造等によっては対応ができないこともありますが、場所によっては、スタッフの方によって、目的のインターチェンジまで戻れるよう対応してもらえることもあります。
間違ったからといって、あわててUターンをして逆走というのは、絶対にしないでください。

速度を守り、走行車線を走る

逆走事故から身を守るためには、速度超過をしないことが大前提です。
当然、速度を上げると死亡率は上がりますが、相手の速度はコントロールできません。
少しでも被害を軽減するためには、自分自身が速度超過をしないことです。
また、高速道路では、【逆走車あり】という掲示もされることがありますので、掲示板を必ず見るようにして、このような表示を見たら速度を落とし、逆走車との遭遇に備えてください。
さらに、走行車線を必ず走行するようにしてください。
原則として左側の車線を走行することは、道路交通法で定められていることでもありますが、多くの逆走車は、追い越し車線を逆走して来るからです。
逆走車との正面衝突を避けるためにも、左側の車線を走行しましょう。
相手の逆走を止めることはできませんが、自分の運転によって身を守ることを心がけてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。