
【交通安全ニュース解説コラム】第87回 もしも高速道路で車が止まったら…あなたの命を守る行動とは?
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
3月末、山形自動車道上り線で、歩行者がはねられて死亡するという事故がありました。
付近には、歩行者のものとみられる乗用車が止まっていたそうです。
警察は、車の故障で降車し、事故にあったとみて調べています。
実はこういった事故は、意外と起こっています。
令和5年における、高速道路での人対車両の事故は、83件も起こっているのです。
その多くは、今回のように何らかの理由で車外に出ていたところを、後続の車両にはねられるというものです。
停車してからの運転者の行動
みなさんは、高速道路で車両が故障してしまった場合や事故を起こしてしまった場合、きちんと対処できるでしょうか。
まず、ハザードランプを点灯して、路肩に寄せてください。
次に、同乗者がいる場合は、車から降りてもらいガードレールの外側に避難させましょう。
その際、停止させた車両よりも後方に立つようにしてください。
万が一、停止させた車両に後続車が追突した場合、車両より前方に立っていると巻き込まれてケガをします。
同乗者の避難がすんだら、三角停止表示板などの停止表示器材を設置し、発炎筒を焚きましょう。
設置し終わったら、運転者もガードレールの外側に避難します。
その後、高速道路に設置されている非常電話か、携帯電話で110番か道路緊急ダイヤル(#9910)に通報しましょう。
危険なので、絶対に高速道路上を歩き回ったりしないでください。
現在は、停止表示器材が車両に標準装備されていませんので、自分の車両に装備していない場合は、購入して車両に載せておきましょう。
また、発炎筒には使用期限がありますので、あわせて確認をしておきましょう。
かもしれない運転
高速道路を走行している時でも、路上に停止車両がいるかもしれない、という意識で運転することで防止できる事故があります。
高速道路とはいえ、さまざまなタイプの事故が発生しています。
出口を間違えた車両が前方で急停止したり、中にはUターンをしてしまう車両もいます。
料金所でレーンを間違えた車両が、急な割り込みをしたあげくに、急停止することもあります。
こういった車に追突してしまう事故が、少なからず起こっているのです。
私のYouTube番組を視聴してくださっている方は、これらの事故に覚えがあると思います。
法定速度を守ることや、かもしれない運転をすることはもちろんですが、
少しでも違和感を抱く車がいたら、すぐに速度を落として車間距離を空けるようにしてください。
おかしいな、変な運転をするな、と思いながらも、車間距離を詰めたまま走行していては、予想外の運転行動を取られた時に、対応ができません。
事故防止のために、白線4本分の車間距離は常に確保し、
自分とは感覚の違う運転をする車両に対しては、さらに車間距離を空けて、事故をもらわないようにしてください。
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。