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【交通安全ニュース解説コラム】第84回 飲酒運転の危険性とアルコールチェックの重要性

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
2月14日、静岡県浜松市で、暴走した車両が中央分離帯を乗り越えてタクシーに衝突するという事故が起こりました。
幸い死者は出ませんでしたが、3人が怪我を負いました。
事故が起こったのは午後2時20分頃だったのですが、車を運転していた運転者の呼気からは、基準値を超えるアルコールが検出されました。
警察の調べに対して、酒を飲んで事故を起こしたと話しているそうです。
また、2月22日には、福岡県古賀市で2トントラックが原付バイクと衝突する事故が発生しました。
このトラックの運転者は、バイクとの接触事故後逃走し、約7時間後に別の当て逃げ事件で再度目撃され、さらに4キロ離れた場所で警察によって発見されました。
トラックの運転者の呼気からは、基準値の9倍近いアルコールが検出されたとのことです。

アルコールチェックの義務化

浜松市の事故は、時間帯を考えると慢性的に酒気帯び運転を行っていた可能性もあると考えられます。
多少の酒気帯び運転でも、検挙されなかったり、事故にならなかったという成功体験を積み重ねてしまうと、それが当たり前となり、どんどん行動はエスカレートしていきます。
福岡の事故に関しては、トラックということですが、運送会社かどうかは報道では明らかにされていませんでした。
運送会社かどうかは分かりませんが、通常、業務において車両を運転するほとんどの企業では、アルコールチェックが義務付けられています。
これは、2023年12月1日から義務化されたのですが、運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行わなければなりません。
また、そのチェックの記録は1年間保存する必要があります。
この運転者の会社ではアルコールチェックがされていたのか、出庫後の飲酒だったのかなど、事故の経緯が気になります。
いずれにしても、基準値の約9倍のアルコールが検出されていますから、常習的に行っていた可能性と、依存症の可能性についても疑われます。

アルコール1単位の分解時間は4~5時間

一般的に、アルコールが分解される時間は、男性で1単位あたり4~5時間かかると言われています。
この「1単位」とは、純アルコールが20g含まれる量で、ビールであれば500ml(1缶)。
日本酒は160ml(0.8合)、チューハイは350ml(1缶)と、お酒の種類によって量も変わってきます。
体格や体重、性別や年齢によっても分解時間は変わりますが、目安として覚えておいてください。
時折、「一晩寝たから大丈夫」と言う人がいますが、アルコールの分解速度は睡眠中は遅くなります。
4~5時間というのは、あくまで覚醒状態での時間であることを忘れないでください。
車を運転する予定がある方は、何時間後であれば確実にアルコールが分解されるのか計算をして、お酒を飲むようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。