【交通安全ニュース解説コラム】第77回 冬タイヤ交換後に注意!脱輪事故を防ぐ「増し締め」と点検の重要性
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
11月に入ってから、北海道で車輪の脱落事故が相次いで起こっています。
脱落した車輪は、信用金庫の入口に突っ込んだり、他の車両に衝突したりしています。
時には脱落したタイヤが、物ではなく、通行人に衝突することもあります。
実際、北海道で昨年起きた軽自動車の脱輪事故では、歩道にいた当時4歳の子供にタイヤがぶつかりました。1年経った今も、意識不明の重体のままだそうです。
事故の多くは、冬用タイヤに交換したばかりの頃に起こっています。
脱輪事故で外れるのは、圧倒的に左側の車輪が多いです。
これは路面の形状やナットの回転方向が関係していると言われています。
道路は通常、排水のために中央から左右に向かってやや傾斜がつけられています。
つまり、どちら向きに走行していても、常に車の左側が若干傾いた状態になり、左側車輪に負荷がかかります。
さらには、左側の車輪というのは、走行中はナットが緩む方向にタイヤが回転しているため、外れやすいのです。
タイヤ交換後に増し締めを
自宅で冬用タイヤに交換したり、社用車であれば、整備士だけでなく普段その車を使用している運転者が冬用タイヤに交換したりすると思います。
タイヤ交換をした後は、必ず「増し締め」をしてください。
増し締めというのは、タイヤ交換をしてしばらく走行した頃に、再度ナットを締める作業です。
タイヤ交換直後はしっかりとナットが締められていると思いますが、走行している間に、錆やほこりが落ちることなどの影響もあってナットが緩んできます。
タイヤ交換後、50キロ程度走行した後に、全てのタイヤのナットがしっかり閉まっているか再度確認をしてください。
この行動だけで、脱輪事故を防げます。
違和感を放置しない
タイヤの重さは車種によって異なりますが、軽自動車で約5kg、普通車で10kg、大型自動車では50kgもあります。
脱輪する時には、ホイールがついたまま外れるためさらに重さがあり、走行時のスピードが乗ったまま転がっていくため、衝突時の衝撃はかなり大きくなります。
脱輪事故では死者が出ることもあります。
タイヤ交換後には、走行中の違和感や異音に気がついたらすぐに安全な場所に車を止めて、ナットが緩んでいないか確認をしてください。
事故を起こした運転者の中には、走行中に異音を聞き、走行時の違和感にも気がついていたというケースもありました。
「何かおかしい」と思いながら走行するのは、絶対にやめてください。
脱輪事故に限らず、その少しの違和感を放置して事故をおこしてしまうケースが非常に多いのです。
季節に合わせてタイヤを交換するのは、安全な走行をするためです。
交換後のメンテナンスも定期的に行って、安全走行を維持するようにしてください。
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。