【交通安全ニュース解説コラム】第76回 身近な薬が事故の原因に? 副作用と安全運転のポイント
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
10月15日、大阪府で16台が絡む事故がありました。
事故を起こしたトラックは、しばらくの間片側2車線の中央で蛇行運転を続け、立て続けに15台の車やバイクに衝突したそうです。
追突された車両は、いずれも大きな損傷を受けていました。
この事故で11人がけがを負いました。
運転者は、何らかの薬物を使用しており、意識がもうろうとした状態で運転をしていたようです。
薬の副反応にも要注意
道路交通法の第66条では、「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と定められています。
過労による居眠り運転や脳・心臓疾患などの病気が原因で事故を起こしてしまうケースがあるのは、みなさんもよく知っていると思います
最後の「薬物」ですが、これは「違法薬物」を指しているわけではありません。
医薬品、いわゆる市販薬や処方薬の中に、眠気を引き起こしたり反応が鈍くなったりするなどの副作用が出るものがあります。
飲み薬だけでなく、注射や貼り薬、目薬などでも同様の副作用が出るものがあります。
こういった医薬品は、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」などと説明書に記載されていたり、医師からその行為を禁止されたりします。
花粉症の時期や風邪が流行する季節には、特に注意が必要です。
今は眠気を誘発しないアレルギー薬や風邪薬も販売されていますが、自分が普段服用している薬にどのような副作用があるかは、服用前にきちんと確認するようにしてください。
走行中は車間距離保持と安全確認を
今回の事故に当てはまるかは事故の詳細が出ていないため断言できませんが、追突をされた場合に二次被害を出さないためにも、車間距離は必ず保持するようにしてください。
車間距離が短い状態で連なって走行すると、追突された衝撃で被害車両がその前方車両に追突してしまう、という玉突き事故に発展してしまいます。
速度超過をせずに、制限速度に応じた車間距離を取るようにしてください。
時速60キロで走行する場合は、前方車両との間は白線4本分(約40メートル)空けましょう。
また、走行中であっても、バックミラーやサイドミラーでの安全確認は定期的に行ってください。
確認をした際に何らかの異変を感じた場合は、速度を落として車間距離を空け、いざという時に避けたり停止したりといった対応を取れるようにしましょう。
窓を少し開けておくことも、安全のためには重要な運転行動です。
車両の性能も上がり、遮音性が高くなっています。
外部からの音をいち早く拾い、危険を感知するためにも、窓を少し開けた状態で走行しましょう。
オーディオの音も小さめにしておきましょう。
私のYouTube番組でも、音の情報による事故防止について配信していますので、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=5Bno5vUJmuU
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。