【交通安全ニュース解説コラム】第33回 これからの季節は要注意!路面状態の悪い日の運転
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
12月初旬に秋田市で、スリップが原因による、車12台が絡む交通事故が起きました。
現場は片側2車線で、事故当時雪は積もっていなかったものの、路面が凍結した「ブラックアイスバーン」の状態だったそうです。夕方6時過ぎに1台がスリップして横転し、その後通りかかった他の車も次々とスリップし、最終的に12台もの車が互いに接触したり歩道に乗り上げたりなどしました。幸いなことに、事故による怪我人はいなかったようです。
秋田県では、12月初頭の1日だけで70件ものスリップ事故が発生したこともありました。
これからの季節、積雪やアイスバーンに気を付けて運転する必要があります。
濡れた路面に見えるブラックアイスバーン
ブラックアイスバーンとは、アスファルトの表面が氷に覆われているのですが、一見すると濡れた路面のように黒く見える状態のことを言います。夜間になるとさらに凍っていることがわかりづらくなるため、スリップ事故が起こりやすいのです。
過去に日本自動車連盟(JAF)がブラックアイスバーンにおける制動距離の実験を行っています。
ウェット路面と比較して、見た目にはほとんど差異がないものの、制動距離には50m以上の差がありました。
これからの季節は気温がどんどん下がり、路面の凍結も起こりやすくなります。
スタッドレスタイヤを装着しているからアイスバーンでも大丈夫だと、勘違いをしてしまっている運転者も多くいます。スタッドレスタイヤでも路面が凍っていると制動距離は長くなります。
さらに、速度超過した状態で走行していると、スリップしやすくなります。
路面状態が悪い時には、制限速度ギリギリで走るのではなく、10km/hほどスピードを落として走行してください。
「急」な運転行動は絶対にダメ!
路面状態が悪い日に特に注意していただきたいのが、減速路面標示(減速マーク)のある場所です。
減速路面標示は、高速道路ではカーブの手前に、山道では危険な場所に引かれています。
一般道路では交差点の手前に引かれていることが多いのですが、これは事故の多い交差点を示しているとも言えます。
追突事故の発生リスクが高い場所だと思ってください。
減速路面標示がある場所では、さらに速度を落として走行してください。
高速道路では、渋滞や天候に応じて制限速度の標示が変わります。注意深く確認して速度超過しないよう気を付けてください。
また、「急ブレーキ」「急ハンドル」「急発進」など「急」のつく運転行動は厳禁です。
車間距離も通常より広めに、できれはいつもの2倍を目安に確保してください。
事故を起こしてしまうと、渋滞や立ち往生を招いてしまいます。他車への迷惑になるのはもちろんのこと、積雪やアイスバーンができるような気温の低い時であれば、立ち往生が多数の方々の生死にかかわることも忘れてはなりません。
走り慣れたいつもの道でも、路面状態が悪い時には細心の注意を払い、路面状態に合わせた運転をして事故を防止してください。
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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。