【交通安全ニュース解説コラム】第74回 交通事故防止のための一時停止と減速の重要性
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
9月23日、青森県六戸町で軽トラックとワンボックスカーが出合い頭に衝突する事故がありました。
現場は信号機のない片側1車線の十字路交差点で、軽トラックは南から北に、ワンボックスカーは西から東に直進していました。
一時停止の標識は軽トラック側の道路にありましたが、一時停止をせずに猛スピードで衝突してきたという証言も出ています。
残念ながらこの事故で3人の方が亡くなりました。
事故が多い場所、あるいはリスクの高い場所
一時停止義務があるということは、その交差点がリスクの高い交差点であるということです。
一時停止の標識がある場所では、必ず停止線で止まってください。
通行車両が少ないから止まらないとか、相手車両が止まるだろうからそのまま直進するとか、そういった判断はせずに、一時停止線のある場所では必ず止まってください。
このコラムでも何度もお伝えしていますが、一時停止線は、出合い頭の事故を防ぐためのものです。
止まる時は、停止線の手前で止まってください。
確認ができないからと停止線を越えて止まると、出合い頭の事故を引き起こしてしまいます。
出合い頭の事故を防止するために停止線の手前で止まって、その後、徐行しながら少しずつ車を進めて、安全確認ができる場所でまた停止してください。
そして、左右の安全を確認してから、交差点内に進入しなければなりません。
減速路面標示
冒頭の青森での事故現場を見ると、一時停止義務がある側の路面には、左右に点線が表示されています。
これは、減速路面表示というもので、過去に事故が多く発生した場所やリスクの高い場所に表示されています。
減速路面標示にはいくつか種類があり、右の画像はその一例です。いずれにしても、これらの標示がある場所では事故の危険がありますので、速度を落とすようにしてください。
一時停止義務がない側の、優先道路を走行する場合でも、相手が一時停止するはずだという考えで徐行せずに交差点に進入するのは、リスクが高いです。
優先道路とはいえ、見通しの悪い交差点では徐行義務が発生しますし、見通しが良い交差点であったとしても、車両の存在に気づいたら速度を落としてください。
法令上優先であっても、被害に遭うと乗員が死亡するような事故になるからです。
事故に巻き込まれないためにも、防衛運転をするよう心がけてください。
ひし形の路面標示
もう一つ、気をつけて欲しい路面標示についてお話ししたいと思います。
下の画像にあるひし形の路面標示は、横断歩道の手前に表示されているものです。
ひし形を見たら、減速をするようにしてください。歩行者がいると想定して、横断歩道手前で停止できる速度で走行してください。学校の近くや住宅地の中では、子どもたちが横断歩道を駆け抜けてくることもあります。
私のYouTube番組で何度か取り上げている事故動画では、このような横断歩道のある場所で、渡ってきた子どもたちをはねてしまう映像があります。
事故が起こった時、対向車線に車列ができていたため、走行していた車の運転者は、横断歩道を渡り始めていた子どもたちに気がついていなかったと思われます。
「見えないからいない」と判断するのではなく、路面標示があるから止まれる速度で走行する、という習慣を身につけてください。
(ディ・クリエイトでは、歩行者優先を定めた道路交通法第38条を広める活動をしています。 Respect the low 38)
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。