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【交通安全ニュース解説コラム】第72回 シートベルトの正しい着用と重要性

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
8月18日、福岡市で軽自動車が中央線をはみ出して、対向車線を走行する路線バスと正面衝突する事故が起きました。
なぜ中央線をはみ出して衝突したのか、その事故原因は現時点では調査中です。
この事故で、軽自動車の後部座席に座っていた7歳と5歳の子供が亡くなりました。
子供たちはシートベルトは着用していましたが、チャイルドシートやジュニアシートは使用していませんでした。
そして、この事が、死亡事故になってしまった要因とも言えるのです。

正しい着用でなければ意味がない

一般道路におけるシートベルトの装着率は、運転席が99.2%、助手席が97.1%なのですが、後部座席になると43.7%にまで下がります。
チャイルドシート着用率を見てみると、1歳未満では92%と高い使用率ではあるものの、5歳の子では使用率は55.5%しかありません。(シートベルト着用状況全国調査結果
平成12年4月1日から、道路交通法により6歳未満の子供にはチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、実際にはまだ使用していないケースも見られます。

車に装備されているシートベルトは、大人の身体に合わせて適正に装着できるように作られています。
ですから、子供や体格の小さな大人だと、正しい位置にシートベルトを装着できない場合があります。
正しい位置に装着できないと、事故の衝撃で内臓を損傷して、それが原因で死亡してしまうおそれがあるのです。
怪我を防ぐためにも、チャイルドシートとジュニアシートの使用が必要なのです。

シートベルトを着用する時には、首にかからないよう、鎖骨から胸骨にかけて通るようにしてください。
また横向きに通す部分のベルトは、腹部ではなく左右の腰骨にかかるように通してください。
腰骨にベルトがかかっていると、衝撃で内臓を傷つけるリスクを下げられます。
正しい姿勢で座って、正しい位置にベルトが来るようにしてください。

シートベルトをしないと車外放出される

後部座席でのシートベルト着用率は50%に満たないのですが、このコラムを読んでいるみなさんは、家族や同僚の運転する車の後部座席や、タクシーに乗る時に、シートベルトを装着しているでしょうか。

シートベルトを正しく着けないと、怪我をする恐れがありますが、そもそもシートベルトを着けないと、衝突の際にドアが開き、車外放出されてしまいます。

事故分析映像で何度も車外放出の映像を見てきました。
運よく怪我で済むこともありますが、放出された勢いで中央分離帯やガードレールなどに激突して亡くなることもあります。また、後続車によってひかれてしまうこともあるのです。

シートベルトをしていないと、衝撃によって体が飛ばされ、前席や隣に座る人を押しつぶしてしまい、同乗者を死なせてしまうこともあります。(JAFユーザーテスト
自分のためだけでなく、同乗者を守るためにも、どの席に座ったとしても必ずシートベルトを着用してください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。