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【交通安全ニュース解説コラム】第71回 夏休みは子供たちに一層の注意を

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先日から「大暑」に入りました。1年で最も暑さが厳しくなる時期ですね。
小中学校も夏休みとなり、これから約1か月の間、子供たちの生活リズムが変わります。
街中で子供たちを見かける時間帯も変わってくるということです。
今回は、夏休みに入った子供たちとの交通事故を防止するために、気をつける点をお話ししたいと思います。

日中の時間も子供たちに注意が必要

学校がある間は、子供たちを巻き込んでしまう交通事故というのは、登下校の時間帯の15時から16時頃や、下校後に友達と遊び、自宅へと帰る17時頃に集中します。
しかし、夏休みになると、子供たちは日中も出かけるようになります。
生活道路を走行する場合は、昼間の時間帯も含めて、注意が必要となります。
特に、信号のない交差点では、子供が飛び出してくる可能性があります。
このようなリスクが高い場所では、ブレーキに足を置いて通過する、いわゆる構えブレーキで走行するようにしてください。
生活道路でよく見かける、ひし形(◇)の路面表示を見たら、すぐに徐行をして構えブレーキをしてください。

子供は危険感受性が低い。だからこそ、大人が気をつけてあげる

飛び出し行動の原因として挙げられるのが、子供の危険感受性の低さです。
運転者から見ると左側からの飛び出しが非常に多いのも、子供との事故の特徴の一つです。
ドライブレコーダーの事故映像を見ていて、この3~4年で特に多く感じるのが、歩道からの飛び出しです。
歩道から車道に飛び出して横断する子や、友達と歩道を歩いている時に押し合いっこなどをして車道に飛び出してしまう子もいます。
子供たちを守るためにも、運転者は歩道の確認を怠らず、ガードレールの切れ目から子供が飛び出してくることも想定して運転するようにしてください。
反対車線に車列があって見通しが悪い場合は、車の間から子供が出てくるかもしれないことも想定してください。

また、自転車に乗っている子供たちも、歩いている時と同じ感覚で車道に飛び出してしまったり、安全確認をせずに進路変更をして車の前に突然出てきてしまったりします。
自転車との衝突の場合は、お互いにスピードが出ているため死亡事故になりやすいという危険性があるので、自転車に乗る子供の動向には十分注意をしてください。

7月23日には、中央線がない道幅の狭い生活道路の法定速度を時速30キロに制限するという、改正道路交通法施行令が閣議決定されました。
2026年9月に施行される予定です。
実際に施行されるのはまだ先ですが、今すぐにでも意識を変えて、子供たちの命を守るために、生活道路での走行は時速30キロ以下にしてください。
たとえ時速が10キロだったとしても、死亡率は0.4%もあるのです。
「法律的にはまだ大丈夫だから」と考えるのではなく、いついかなる時でも、命を守る運転を心がけるようにしてください。

みなさんが、加害者にも被害者にもならないことを、願っています。

 

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。