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ドラレコのプロが教える“法人向けドライブレコーダー選びのポイント”

巷で大流行のドライブレコーダー。多くの企業でも導入を検討されていますが、種類や機能が多くてどう選んだらいいのか迷われるかと思います。ドライブレコーダーの専門家(年間400以上の交通安全に関するセミナーを実施)に、企業においてどのようにドライブレコーダーを選ぶのか?指導に活用するのかをご紹介いただいております。ぜひ、ドラレコ選びのご参考にして下さい。

事故時の証拠なのか?事故を減らしたいのか?

ドライブレコーダーは近年、あおり運転問題などの影響で、車を運転する際の必需品となりました。その目的は、万が一のトラブルの時の証拠になるからという理由が大きいと思います。しかしながら、企業がドライブレコーダーを社用車に導入する目的はこれだけではありません。10年以上前から主にタクシー業界から広がったドレイブレコーダーの導入ですが、その目的は事故の抑止効果が望めるからです。

事故を減らしたいなら映像を運転者にフィードバック

では、ドライブレコーダーの導入でなぜ事故が減少するのでしょうか?私は自身がタクシー会社の社長時代から導入し、事故を減少させ、今は交通事故防止コンサルタントとして多くの企業様でコンサルティングやセミナー講師活動を行っております。私たちのセミナーの特徴は、ずばり、このドライブレコーダーで取得された映像でのセミナーです。今までの交通事故防止の現場では、統計に基づく講話や、安全意識を高めるという精神論的な講話が多く、事故を起こさない運転者は、それを他人事と捉えてきました。ドライブレコーダーの映像は、自身の運転に置き換え、また、映像を見る事で交通事故を疑似体験できます。しかも実際の事故映像は、他人事から自分事へと意識を変化させてしまうのです。弊社のクライアントで100台近く車を所有する運送会社が4年間無事故という記録を達成しました。この実績は驚異的ですが、もっと驚くのは、このクライアントはドライブレコーダーを導入していない事です。弊社所有の事故映像による教育を2か月に1度行い、社内でも安全教育を行っていただけで、事故はなくなる企業もあるのです。

映像は自分事に置き換えるものが一番いい

では、単純に事故映像を見せれば、事故はなくなるのか?もし、それが効果的であれば、YouTubeなどで見れる死亡事故や悲惨な事故を見せ続けると事故はなくなるでしょう。しかし、それでは事故はなくなりません。理由は1つ、あまりにも大きな事故は、日常の運転と置き換えるどころか自分は死亡事故はしないから、自分には関係ないとまで意識してしまうからです。よって、その映像を自分事に置き換える事はできず、自身の運転も変える事はできません。

だからヒヤリハット(危険運転映像)

私はタクシー会社時代、事故映像ではなく、自社内で発生したヒヤリ・ハット映像を、毎月、教育の場で見せ続けました。その結果、前年に比べて、7割もの事故が削減できました。それはなぜなのか?単純に事故よりも、ヒヤリ・ハット映像の方が運転者が体験しているからです。自分が普段体験しているような映像を客観的に見て、どれだけ自分の運転が危ないか?理解していったから運転が変わっていったのです。

ヒヤリハット映像の注意点 監視にならないこと

このヒヤリハット映像ですが、私は不定期に運転者のドライブレコーダーの映像をチェックし、危険と思われる映像を取り出し、それを研修で使っていきました。弊社では、今、このヒヤリハット映像を抽出する作業の請け負いをさせて頂いております。管理者の手間を少しでも取り、教育する時間を多く取って頂く為です。しかし、このヒヤリハット映像は、使い方を間違えると管理から監視へと変化していきます。多くの企業で失敗しているのはこの監視をしてしまう事だと思います。ヒヤリハットは、運転者が確認不足などの不安全な行為をしている時に発生します。当然、運転者に話す時、指摘(ダメ出し)になるので、言い方を間違えると、ただの説教になる事もあるからです。

監視にならない為には褒めること 

実はドライブレコーダーの最大の武器は、ブレーキや速度の質がわかることです。どういう状況で、ブレーキを踏んだのか?がわかるという事は、そのブレーキが仮に歩行者の飛び出しであれば、そのブレーキは良く止まって事故を回避できたという解釈です。仮に運転者のわき見であれば、その行為を指摘し、改善すべきですが、事故を回避したのであれば、それは質の良いブレーキですから、まずは褒めるべきなのです。私は歩行者が飛び出したような映像があれば、運転者の名前を公開し、「だから〇〇さんは長年事故がないんだよ、見習って下さい」と褒めていましたし、今、クライアントでのセミナーでも、ヒヤリハット映像を使いますが、まずは褒める映像を探し積極的に使っています。ドライブレコーダーは指摘だけではなく、褒める道具として使えば、さらに事故抑止効果は高まると思います。

ドライブレコーダー選びのポイント

色々なメーカーがあり非常に迷うと思います。私もよくこの質問をされますが、答えは1つです。『まずは運用を決め、その運用に合う機種を選定する事です』私の場合は、とにかくヒヤリハットなど危険運転映像のチェックが簡単に行える事が第一条件です。正直、ドライブレコーダー自体の機能はあまり気にしません。それはなぜか?目的は事故の減少が第一です。私が事故を減らした15年前のドライブレコーダーは、日付も時間もわからない映像しか取れない機種でした。それでも事故を7割も減らせたからです。今では、通信型でSDカードを抜き出す必要もなく簡単に映像確認をできるものもあり、管理者の負担も軽減できます。もちろん、多くの機能はあれば良いとは思いますが、重要なのは機能ではなく、いかに簡単に映像をチェックすることを継続できるかです。

上西一美(交通事故防止コンサルタント)

株式会社ディ・クリエイト代表、一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長。タクシー会社の社長時代にドライブレコーダーをいち早く導入し、交通事故削

減率70%を実現。その経験も元に、交通事故防止コンサルタントとして独立。15年間、交通事故削減のコンサルティングを行い年間400回のセミナーをこなす。YouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日配信中。

Twitter:上西一美@ ドラレコ交通事故防止

Youtube:上西一美のドラレコ交通事故防止