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【交通安全ニュース解説コラム】第16回 春に増加する子供の事故

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
今回は「春」ならではの事故についてお話をしたいと思います。
交通事故防止において「春」といえば子供の事故の増加が真っ先に挙げられます。
運転者としては、子供の動向には非常に注意を払わなければならない時季と言えます。

子供の事故、多いのは生活道路で夕方

子供の事故においては、共通する特徴がいくつかあります。
まず、道路です。
比較的狭い道路における事故が多い傾向にあります。
いわゆる生活道路と呼ばれているような、センターラインがない狭い道ですね。
見通しの悪い交差点などでは、出会い頭の事故が多発します。
もう一つ特徴的なのは、時間です。
圧倒的に午後の時間が多いです。
これは学校の下校時間や、下校後に友達と遊びに行く時間帯ですね。
「学校に行く」という目的の元に歩いている登校時に比べると、下校時・下校後に事故が多いのは、「家に帰るだけ」「これから遊びに行く」という、自由に動けるという子供たちの心の状態が、動きに現れるからではないかと思います。

最低限徐行、必要であれば停止

では、運転者は事故を防ぐために何をしなければならないか。
生活道路の交差点では、そもそも自転車や歩行者とぶつかる危険性が非常に高いです。
さらに、子供は危険感受性が低く、飛び出してしまい事故に遭遇しがちです。
一時停止線がある場所では必ず止まってください。
その際、往来の車が見えないからと白線を超えて止まっては意味がありません。しっかりと停止線の位置で止まり、出会い頭の事故を防いでください。
一時停止線がない場所でも、自分の方が優先だからとそのままのスピードで交差点に進入するのではなく、必ず徐行をしてください。
道路交通法でも見通しの悪い場所では徐行が定められているので、しっかりと徐行してください。
徐行というのは直ちに止まれる速度のことで、時速10㎞以下ではないかと思います。
これは法律上の義務ですから、徐行していれば違反として取られることはありませんが、事故防止という目的で考えると、見にくいなと思う場所ではやはり停止する事が大切です。
最低限やるべき事が「徐行」です。必要であれば止まってください。この「必要であれば」というのは、自分が確認できないと思った時です。動きながら確認をするのではなく、確実に止まってから安全確認をしてください。

子供の動向に注意を払い、窓を開ける

生活道路よりは少し広めのセンターラインがある道路でも、歩道にいる子供たちの動向には注意を払ってください。
動画配信でも時々使用している映像に、歩道から車道に飛び出してしまった子供を危うくひきそうになるというものがあります。ヒヤリハットで済んだのは、運転者が子供の動きに注意を払い、少し手前の位置からブレーキを踏んだからです。ブレーキを踏んでいなければ、重大事故になってもおかしくない状況でした。
車両対歩行者の事故では、車両の時速が10㎞上がるごとに死亡率は2倍から3倍上昇すると言われています。
また、車の窓を少しで良いので開けておくと、「音」という情報を受け取る事ができます。
子供の声や自転車の音などの情報です。
人は耳からの情報に対して、非常に素早く反応できます。できるだけ窓は開けるようにして、より多くの情報を得られる状態にしておくことが、事故防止に役立ちます。

数年前から私は「Respect The Law 38」という活動を行っております。
歩行者優先が明記された道路交通法第38条を広め、歩行者を守る運転をするよう周知する活動です。この活動を一緒に行っている企業様でも、事故防止のために様々な取り組みをしています。
その一つが思いやり運転活動というもので、歩行者を守る運転をした従業員のドライブレコーダー映像を集めて、YouTubeなどで発信したり、社内表彰制度を設けて表彰したりするというものです。
この取り組みを始めてから、事故は激減したそうです。
ぜひ、この記事をご覧のみなさまの会社でも、社員の方々の素晴らしい運転映像を集めて共有してみてください。事故防止の絶大な効果が実感できると思います。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。