【交通安全ニュース解説コラム】第36回 重大に事故になりやすい「居眠り運転」
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
1月下旬、埼玉県で大型トレーラーが住宅に突っ込んでしまう事故がありました。
国道17号を走行していた大型トレーラーは、中央分離帯を乗り越えて対向車線の乗用車2台と衝突しましたが、それでも止まらずに暴走し続け、100メートル以上も離れた民家にぶつかってようやく停止しました。
幸い死者は出ませんでしたが、乗用車に乗っていた3名が怪我を負って搬送されました。
事故原因は運転者の居眠りだったそうです。
運転者は、過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕されました。
バイオリズムに合わせた休憩を
居眠り運転による事故が発生しやすい時間帯は、日中の14時前後、そして深夜2時から5時という統計があります。
人間の体は起床してから8時間後に睡魔を感じやすいと言われています。
おそらく多くの方が6時から7時の間に起きると思いますが、その8時間後がちょうど14時頃となります。
深夜の時間帯に居眠りが多くなるのは、この時間帯が1日で一番体温が低くなるからです。
体温が下がるにつれて、眠気を感じるようになります。
眠気を感じたら、車を止めて車外に出るようにしてください。体勢を変えたり軽いストレッチをしたりすることで眠気が解消されます。
また、カフェインを摂取するのも効果があると言われています。ただし缶コーヒーには角砂糖3個分程度、微糖コーヒーでも1個分の砂糖が入っています。糖分が高いものを一気に飲んでしまうと、血糖値が急激に上がり、それを下げようとする体の働きによって眠気を誘発してしまうことがあります。糖分を含むカフェインを飲む時は、一気に飲むのではなく、ゆっくりと飲むように意識してください。
食後に眠気を感じるのも、この血糖値の上昇が関係していると言われています。食事をする時もゆっくり食べるように意識してください。
運転中に眠気を感じて車を止めた際、もしも仮眠する時間が取れるのであれば10分から15分の睡眠を取ってください。
時間はあっても眠れそうにはないという場合には、目を閉じて体を休めてください。目を閉じるだけでも睡眠と同じような効果が得られると言われています。
短時間でも仮眠を
常日頃から長時間の運転をする方は、運転中の休憩時間をしっかりと確保するようにしてください。
長時間の休憩を一度だけ取るよりは、10分から20分程度の休憩をこまめに取る方が居眠り運転の抑止効果は高いと思われます。
道路交通法第66条には「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定められています。
休憩を取らずに居眠り運転による事故を起こしてしまうと、道路交通法違反となります。
一方で、きちんと休憩をして仮眠を取った上で、それでも万が一居眠り運転をしてしまった場合は、過失事故となり道路交通法違反が適用される可能性は低いです。
居眠り運転での事故というのは、衝突するまで気が付かないため、減速をせずに相手車両や人、物などにぶつかります。スピードが出た状態でぶつかるため、相手を死なせてしまう危険性が高く、自分が怪我をするリスクも高いのです。
短時間の休憩をこまめに取り、居眠り運転事故という重大事故を防いでください。
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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。