【交通安全ニュース解説コラム】第65回 ウィンカーちゃんと出してますか?
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先日、運転をしていて、あることが気になりました。
それは、ウィンカー(方向指示器)を出さずに進路変更をしたり、曲がったりする車が多いということです。
先日は、前を走行する車3台が、立て続けにウィンカーを出さずに曲がっていきました。
3台のうちの1台は、直進しようとしていたのですが、道を間違えたことに気づいたのか、慌てた感じでハンドルを切って曲がっていきました。
私はいつも先行車両との車間距離を40 mは空けているので、急ブレーキなどはしなくてすみましたが、それでもやはり、連続してウィンカーを出さない車を見かけると驚いてしまいます。
最近はこういったウィンカーを出さない、あるいは直前でちょっと合図をするだけという人が増えたように思います。
法律で定められた合図
ウィンカーというのは、運転者がその後どのような行動を取るのかを周知するためのものです。
左折するのか、右折するのか、進路変更をするのか、周囲の運転者に知らせて、その行動によって前後左右を走行する車に危険が及ばないようにするものです。
道路交通法第53条と、道路交通法施行令第21条に、どのタイミングでどのような方法で合図を出し、いつまで合図しなければならないのかが定められています。
右折や左折の場合は、曲がる地点の30 m手前から合図を出さなければなりません。
進路変更(車線変更)の場合は、変更しようとする3秒前から合図をしなければなりません。
このように、合図の開始については、明確に数字で記載されているのです。
合図は「これらの行為が終わるまで」継続しなければならないことも、明記されています。
数年前の調査になりますが、JAF(日本自動車連盟)が、交通マナーに関するアンケート調査の中で、「方向指示器(ウィンカー)を出さずに車線変更や右左折する車が多いと思うか」という質問をしています。
これによると、「とても思う」あるいは「やや思う」と答えている人が77.1%もいました。
ちなみに、「とても思う」と回答した人が最も多かったのは、岡山県で53.2%でした。「やや思う」までを含めると、同県では実に91%の人がウィンカーを出さない車が多いと思っているという結果でした。
JAFは、昨年もウィンカーに関する調査を行っています。
この調査では、東名高速・東京料金所付近の上下線でそれぞれ100台ずつ、2回にわたって計400台の車線変更時のウィンカー合図について集計をしています。
調べによると、法律で定められた「3秒前」から「車線変更完了」まで合図を行ったパーフェクトな車線変更は、わずか1%!
ウィンカーをつけたタイミングが、車線変更と同時かあるいは車線変更をしながらという車は、61.4%もいたそうです。
もしもこのコラムを読んでいる方で、3秒前や30 m手前から合図をしていない人がいたら、今後は定められたタイミングでウィンカーを出すようにしてください。
あなたの周囲の車を運転している人は、超能力者ではありません。
あなたが車線変更をしたいと思っていることや、右左折したいと考えていることは、周囲の運転者には分からないのです。
私はこれまでのドラレコ事故分析で、ウィンカーの出し方によって相手の誤解を招いてしまい、事故を誘発してしまった映像をいくつも見てきました。
自分がどのような運転行動を取るつもりでいるのかを、ウィンカーによって意思表示し、周りに伝えるのは、事故を起こさないためにもとても重要なことなのです。
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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。