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【交通安全ニュース解説コラム】第1回:8月に増加するバイク事故について

こんにちは。ディ・クリエイトの上西一美です。
交通事故防止コンサルタントとして約18年活動しています。
交通事故撲滅に向け、ドライブレコーダーの映像を活用して全国でセミナーを開催したり、コンテンツ配信やオンラインセミナーを行ったりしています。 

今月からこのコーナーでは、昨今話題になっている事柄に焦点を当てて「なぜ事故が起こるのか」「どうしたら防げるのか」「事故を起こさない運転方法」といった交通事故防止についてのお話をしていきます。
皆さまが交通事故の加害者にも被害者にもならないために、ぜひ参考にしていただければと思います。

8月はバイク事故が増加

全国的に8月はバイク事故が多いという統計が出ています。
原稿を書いている今はまだ8月初旬ですが、すでに何件ものバイク事故が起きています。名古屋市では右折しようとした軽自動車と直進バイクの事故がありました。幸い死者はなかったようですが、ちょうど同じ頃、福岡県では、バイクとトラックの衝突事故でバイクの方が亡くなられました。
車とバイクの事故では、車の運転者に比べてバイクの方がより大きな怪我を負ってしまいます。
今回はバイク事故の傾向と対策についてお伝えしたいと思います。 

私は今、愛知県警察の交通安全サポーターとしても活動をしているのですが、令和2年、愛知県では2,341人の方がバイク事故に遭っています。そのうち91人、3.8%の方が車両単独事故を起こしています。事故種別で見るとそんなに割合は高くないのですが、死者数で比較すると割合が大きく変わります。全体で27人の方が亡くなられていて、このうち車両単独事故で亡くなられたのは14人。51.8%にもなるのです。

車との出会い頭の事故も多いです。2,341人に対して850人、36%です。亡くなられた方は、27人のうち7人、26%と比較的多いですね。
中でも生活道路における事故は非常に危険です。よくある状況は、トラックなど他の車両の陰から走行してきたバイクと衝突するというものです。また、大きな道路に出る際の出会い頭事故もよくあるパターンです。
出会い頭の事故では、お互いにスピードが出ている状態でぶつかることが多いです。
特に信号のない交差点、左右の見通しが悪い交差点を通過する場合は、必ず徐行してください。
大きな道路へ出る時は、一時停止義務の有無に関わらず、必ず止まるようにしてください。
逆に自分が幹線道路などの大きな道路を走行している時に、左側から出てこようとするバイクに気づいたら速度を落としてください。
大けがをするのはバイクの運転者です。自分が優先道路を走行していたとしても、危険だと感じたらまずは減速し、一時停止をしてください。それだけで、バイクとの事故はかなりの確率で減らせるはずです。

バイクは目の錯覚で小さく見える

右直事故(右折と直進の事故)も注意が必要です。事故件数は2,341人のうち410人、17.5%で、死亡人数は意外と低く27人のうち1人です。よく言われる「サンキュー事故(直進車が右折車に譲ったため右折し始めたが、直進車の陰からバイクが出てきて衝突してしまう)」というものがこれに含まれます。

手前の車の陰になって、直進してくるバイクは右折車から見えないことが多いです。直進側の車が譲ってくれたからといって、確認もおろそかにスピードを上げて右折しないように気を付けてください。その向こうにバイクが来ているかもしれない事は、常に頭に置き、進入時はアクセルオフで減速してください。

また、見えていたとしても、バイクは実際よりも小さく見えてしまいます。そのため実際の位置よりも遠く、速度も遅く見えるのです。右折車の運転者は「まだ遠くだから大丈夫」という錯覚を抱いてしまいがちです。
バイクの運転者にとっては、待機している右折車が思わぬタイミングで右折してきたという状態になります。

最後にすり抜けの事故です。道路沿いの店に入ろうとした車両と直進していたバイクが接触事故を起こすケースを、これまでの事故分析で多く目にしました。接触の衝撃でバイクの運転者のヘルメットが飛んでしまい、ガードレールに足をひっかけて歩道の植木に頭を強打したケースもありました。
道路沿いの店舗などに入る時は、歩道にいる人だけでなく、後方からすり抜けてくるバイクがいないかにも注意し、きちんと目視で安全確認をしてから曲がるようにしてください。

今日お話しした点で注意ができると、バイクとの接触・衝突事故を減らせます。
速度を守ることが自分と相手の命を守ることにつながります。8月は特にバイクに気を付けた防衛運転をしていただきたいと思います。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。