【交通安全ニュース解説コラム】第19回 右折時に発生する事故の要因
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
6月6日に、浜松市で軽トラックによる人身事故が発生しました。
軽トラックが右折する際、横断歩道を青信号で渡っていた母娘を巻き込んでしまい、残念ながら2歳の女の子が事故から6日後に亡くなりました。
警察は、運転していた男性の前方不注意が事故の原因とみて、詳しく調べています。
右折時に起こりやすい速度超過
右折時は、左折時に比べて速度が出ている事が多いです。
道路交通法第34条では、右左折時の徐行が義務付けられています。徐行とは時速10km以下と考えてください。
しかし、右折の際にはどうしても10km/h以上のスピードが出てしまいがちです。
左折と違って対向車線を横切って渡るため、急がなければという心理が働いてしまうのかもしれません。
速度が上がれば、事故を起こした際の死亡率も上昇します。
事故を防ぐために、定期的に右折時の速度を自分で確認することをおすすめします。
人の視界は横長。四隅は死角になりやすい
冒頭の事故では軽トラックが幼児をひいてしまったのですが、これは運転者の目線が普通車よりも高く、対して被害者となった子は2歳だったので身長がかなり低く、普通車対大人の時と比較すると死角に入りやすい条件がそろってしまっていたと思われます。
人の視野というのは、横向きが180度から200度程度と言われています。
皆さんも、目線を前に向けていても耳の横あたりくらいまではなんとなく視界に入るのではないでしょうか。
横の視野というのは意外と広いのですが、縦の視野になるととても狭くなります。
ご自身の手を、眉毛のあたりから上に持ち上げて行ってみてください。おでこを過ぎたあたりから見えなくなってくると思います。下方の視野も、同じように正面を向いたままあごのあたりから手の平を下げていくとみぞおちの辺りで完全に見えなくなると思います。非常に狭いですよね。
一般的にはこの縦の視野は70度から80度と言われています。
つまり、人間の視野は横長なのです。
そして最も見にくいのは、四隅です。
トラックなどの運転席が高い位置にある車だと、視点が高くなるため右下や左下のしかも路面に近い場所は非常に見にくい状態になります。
ピラーやミラーによる死角も考慮すると、右側からの歩行者はさらに死角に入りやすく危険であると言えます。
今回の事故で、横断していた母娘がどちら側から渡ってきたのかまでの情報はありませんが、いずれにしても、運転者の視点が高く、相手の身長が低いこと
でリスクは非常に高かったと思います。
車高が高い車に乗っている方は、高さによる死角を意識してください。
徐行ではなく一時停止を
車高の高い車に乗っていると、やはり見落としをしてしまう可能性は上がります。
そして最初にお話ししたように、右折時は左折時よりも速度が出やすいです。
このことから、法律上は右左折時には徐行が義務付けられていますが、私は一時停止するのが望ましいと考えます。
止まった状態で確認することで、見落としのリスクをかなり下げられます。
右左折時の一時停止を習慣にし、事故を防ぐ運転を身に付けていただきたいと思います。
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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。