Nautoのロゴ

【交通安全ニュース解説コラム】第81回 2024年交通事故死者数2663人:減少傾向も依然残る課題

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
今年もこのコラムでは、交通事故防止のポイントについてお伝えしていきます。
事故を起こさないため、そして事故に巻き込まれないために、安全走行ができる運転習慣を身につけましょう。

2024年の死者数は2663人

先日、2024年の交通事故統計を警察庁が発表しました。
全国の交通事故死者数は2663人(前年比-15人)でした。
2年ぶりの減少となり、統計が残る1948年以降、3番目に少ない死者数でした。
最も多かったのは東京都で146人。次いで愛知県が141人、そして千葉県が3番目で131人でした。
最も少なかったのは島根県で、死者数は9人でした。

ここからは、11月末までの統計になりますが、死者が出た事故における第1当事者の法令違反で最も多かったのが、「漫然運転」です。
慣れた道の走行では、慣れているがゆえについつい他のことを考えてしまったり、ぼんやりとしてしまう危険性があります。
慣れた道では気が緩みやすいということを意識して、運転してください。
また、長時間にわたる運転では、集中力が途切れてしまい、安全確認をしないまま走行してしまう危険性があります。
こまめに休憩を取るようにしてください。
最低でも1時間半から2時間程度に1回、車を止めて休憩をしてください。
眠気がある時には、時間にこだわらず、すぐに安全な場所に車を止めて、仮眠を取るようにしてください。
ガムを噛んだりして眠気と戦いながら運転をする人がいますが、眠気には勝てません。
非常に危険なので、必ず休憩して仮眠を取るようにしてください。

そして、飲酒運転もいまだなくなってはいません。
令和6年11月末の時点で、119件の飲酒運転による死亡事故が発生しています。
厳罰化されて早数年が経ちますが、いまだ、お酒を飲んだにも関わらずハンドルを握り、人を死なせてしまっている運転者がいるのです。

横断中と出会い頭の事故が多発

事故類型別で死亡事故を見ると、横断中の歩行者と車両との事故が目立って多く起きています。
横断している場所で見ると、最も多いのが「その他」と分類される事故でした。
これは、横断歩道上でもその付近でもないということです。
横断歩道以外の場所、例えばコンビニやスーパー等の近くでは、横断歩道がなくても道路を横断しようとする歩行者がいます。
また、子供たちの生活圏にある小学校等の施設の近くでも、横断歩道のない場所を横断してしまう子がいます。
運転する場合は、十分に配慮して安全な速度で走行してください。

車両相互の事故では「出会い頭」の事故が最も多く起こっています。
一時停止線では、必ず線の手前でいったん止まって安全確認をしてください。
車両の往来が見える所まで止まらずに進んでしまうと、出会い頭の事故を起こしてしまいます。
直進側を走行している人も、一時停止線で止まらずに車が出てくるかもしれないと想定して、運転をしてください。

毎日どこかで7人が亡くなっている

死者2663人。過去3番目の少なさではありますが、1日に約7人、3時間20分に1人、全国のどこかで亡くなっているということです。
そう考えると、決して少ない数字ではありません。
車社会を営む私たちにとって、死亡事故はまだまだ身近なものなのです。
交通事故は交通に関わるすべての人が、より注意し、慎重な行動を取ることで防止できます。
一時期と比べると減少したとは言え、まだ減少させる要素はたくさんあるのではないでしょうか。
加害者にも被害者にもならないために、安全を軽んじることなく日々の運転を行うようにしてください。

=====
執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。