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【交通安全ニュース解説コラム】第39回 認識を改めてほしい「一時停止線」で停止することの意味

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
3月上旬、山形県の市道十字路交差点で乗用車同士が出会い頭に衝突する事故がありました。
事故現場となった十字路は見通しの良い道路でした。
西に進んでいた車両と、南に進んでいた車両が出会い頭に衝突して、どちらも道路脇の電信柱に突っ込んだそうです。
西に進んでいた車両の後部座席に、折れ曲がった電柱が直撃し、後部座席に設置したチャイルドシートに乗っていた1歳の子が亡くなってしまいました。大変痛ましい事故です。
一時停止線は南に進んでいた車両側の道路にありました。警察では一時停止をしっかりとしなかったことが事故原因の可能性があるとして、詳しく調べているとのことです。

一時停止線では無条件で止まる

一時停止場所での出会い頭事故は、停止義務がない方の道路を走行している車両が速度を落とさずに交差点に進入していることが多く、重大事故になる可能性が非常に高いです。また、車両の側面に衝突した場合は、乗員が大きな怪我をする可能性も高くなります。
走り慣れた道だと、慣れによる油断が生じることがあります。
「いつも誰もいないから」
「これまでこの場所で事故を起こしたこともなければ、危険を感じたこともないから」
そんな考えが、一時停止線での停止義務をおろそかにすることもあります。
しかし、一時停止義務が定められている場所は、そもそも事故が起こりやすい場所です。
一時停止線がある側の道路を走行している車両が止まるのは、当然の義務です。
事故を防ぐために、無条件で止まってください。
優先道路を走行している車両も、法定速度を守り、相手が停止しない可能性も考えて交差点に進入してください。
定められた義務を守ること、危険予測をして「かもしれない運転」をすること、それが事故を防ぐ最大のポイントになります。

停止線を越えては意味がない

これまでの記事でも何度もお伝えしていることですが、一時停止線では、その手前で必ず止まってください。
「止まっている」という方でも、停止線を越えて止まっているケースが非常に多いです。
なぜ停止線を越えて止まるのか。
それは、運転者が何のための一時停止線なのか正しく理解をしていないからだと言えます。
セミナーなどで「一時停止場所ではなぜ止まるのか」と質問すると、非常に多くの方が「確認をするため」と答えます。
この認識がそもそも間違いなのです。
一時停止線は「出会い頭の事故を防ぐため」のものです。
多くの一時停止線設置場所では、停止線で止まっても往来の車両は確認ができません。
ですから、「確認のために一時停止する」と勘違いしている人は、停止線を越えた位置で止まってしまうのです。
まずは、停止線のある場所できっちりと停止して、出会い頭の事故を防いでください。
その後、左右の安全確認を行ってから、合流先の道路の車両が確認できる位置までゆっくりと車を進めてください。
この時に注意していただきたいのは、確認をしながらアクセルを踏むのではなく、安全が確認できるまではブレーキから足を離さないことです。
つまり、認知・判断・動作の3つを同時に行うのではなく、安全だという判断ができてから、アクセルを踏む動作を行うのです。
ほんの一瞬の気の緩みで、誰かの命を奪うことのないように、事故防止に努めてください。
悲惨な交通事故の加害者にも被害者にもならないために、今一度、自分の運転を見直してみてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。