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【交通安全ニュース解説コラム】第70回 道路交通法第38条について改めて

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
7月5日、佐賀県の国道で、自転車に乗っていた高校生が軽乗用車にはねられる事故が起きました。
運転者は、過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕されました。
事故が起こったのは、午後7時半頃で、高校生は自転車で横断歩道を渡っていました。
横断歩道には信号機がありませんでした。

以前、このコラムでもお伝えしたことがありますが、信号機のない横断歩道の手前にはダイヤマーク(ひし形の路面表示)があります。

出展:警視庁 日本の特殊な道路標識・標示の意味

このマークを見たら、必ず運転行動を変えてください。
私がいつもセミナーなどで伝えているのは、
1つ目の◇マークでアクセルオフ、
2つ目の◇マークで減速、
をすることです。
いつでも停止できるような運転行動を行うようにしてください。

 

歩行者優先の法律

道路交通法第38条には、
「歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。」
と書かれており、横断歩道における歩行者や自転車の優先が定められています。
時折、歩行者のみが優先されていると勘違いをしている人がいますが、38条には自転車も明記されています。

◇マークを見たら、「歩行者や自転車が渡って来るかもしれない」と考え、減速してください。徐行をしたら、そのまま構えブレーキ(ブレーキに足を置き、いつでも止まれるように準備すること)で走行してください。歩行者や自転車が横断歩道付近にいる場合は、停止してください。

ディ・クリエイトでは、この道路交通法第38条に規定されている「歩行者等優先」を守り、広めるプロジェクト「Respect the Law 38」を推進しています。
実はこの法律の認知度は、「誰もが知っている」と言えるほどには高くありません。
2023年にJAF(日本自動車連盟)が行った全国調査では、信号機のない横断歩道で歩行者が横断しようとしている時に停止した車は、45.1%(全国平均)でした。
半数以上の車が、歩行者が横断歩道脇に立っているにもかかわらず、停止しなかったのです。

 

第38条を広げるために

私たちはこの法律、第38条を、一人でも多くのドライバーに知ってもらい、歩行者を守る車社会を日本に築くべく、活動を続けています。
この活動には、個人の方でも賛同登録ができますので、ぜひ一度「Respect the Law 38」のウェブサイトをご覧ください。
活動に賛同登録をされなくても、日々の暮らしの中で、各々が歩行者を守る運転行動を取り、それを「当たり前」にしていくことは可能です。
もしもこれまで、信号機のない横断歩道で停止していなかったのであれば、日本を「歩行者に優しい」国にするために、あなたの運転行動を変えてください。

参考動画
日本の国を歩行者優先の国に変えたい  ドライブレコーダー 事故の瞬間から学ぶ
(05:23〜)

 

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。