【交通安全ニュース解説コラム】第17回 アレルギー症状と運転
みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
みなさんは花粉症の症状はありますか?
アレルギーの種類によっては花粉症も1年中ありますが
3月末から5月中旬くらいまでは、杉やヒノキの花粉に悩まされる方が多いですよね。
今日は花粉症の時期における事故防止についてお話をしたいと思います。
危険なアレルギー症状
アレルギーを発症するとどうしても身体的に影響が出ます。
頭がぼーっとしたり、体がだるかったり…人によって症状は様々です。
くしゃみが立て続けに出てしまうのも、運転中だと危険を伴います。
過去にはくしゃみが原因で死亡事故となってしまったケースもありました。
くしゃみをする時にはどうしても目を閉じてしまいがちです。
目を閉じるのが一瞬のことでも、車であれば何メートルも進んでしまいます。
アレルギー症状が出ている状態で運転をするのは、非常に危険を伴うことであると認識してください。
多くの方は花粉症対策として、市販のアレルギー薬を服用していると思います。
最近では眠気を誘発しない花粉症薬も多く販売されていますが、薬の使用についても注意が必要です。
道路交通法第66条には「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と書かれています。
例えば、眠気を伴うと分かっていたうえで薬を飲んで運転をし、事故を起こしてしまった場合、「過失」とは見られません。
「正常な運転ができないおそれがあると分かっていて、あなたは運転していたんですよね」と言われてしまうのです。
その状態で起こしてしまった事故では、過失割合が高くなったり、重大事故になれば有罪判決が出やすくなったり、執行猶予が付きにくくなったりもします。
アレルギー薬を処方する医師から「運転などは控えるように」と言われる場合は、やはりその言葉に従った方がいいでしょう。
休憩といつもより広めの車間距離
道交法66条には「過労」や「病気」も併記されています。
体がしんどい状態であったり熱があったりすると、正常な判断を下すのは難しいことです。
正常な判断ができない状態だと分かって運転することを、この条文では禁止しています。
徹夜明けで運転をする、休憩も取らずに運転し続ける、といった状態で事故を起こすと、やはり事故の原因として追及されることになります。
労働基準法では、プロドライバーに対して休憩を取るタイミングと休む時間も定めています。
長時間の運転は居眠り運転に繋がりやすく危険です。
一般のドライバーの方も連続して運転し続けるのは避け、適度に休憩を入れるようにしてください。
ちなみに第65条では飲酒運転が禁止されています。
今年の春の交通安全運動でも重点事項になっていましたね。
66条で禁止されている、過労・病気・薬物というのも、飲酒運転と危険度は変わりません。
ほんの一瞬で、誰かの命を奪ってしまう事故を起こしてしまうかもしれません。
花粉症の方はアレルギー症状を抱えながら仕事をするという、非常につらい時期だと思いますが、薬の副作用をしっかりと理解したうえで、運転するようにしてください。
薬で症状が抑えられていても、効果が切れることも考えて、普段よりも車間距離を空けるといった安全対策を取るようにしてください。
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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター
1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。